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(株)アクトがこれまで行った一連の製品開発の過程で、国や自治体の支援を受けて、 大学や研究機関との産学官連携を継続的に行ってきました。 ここでは、連携の成果が論文化されて学術雑誌に掲載されたものを紹介します。 ここにリストアップしたもの以外のアクトの製品に関わる資料については 外部資料リスト をご覧ください。

目 次
パーラー排水処理システムの菌叢解析
南極産微生物の商品化
口蹄疫ウイルスの不活化試験
PEDVの不活化試験
新型コロナウイルスの不活化試験

排水処理関連の論文

パーラー排水処理システムの菌叢解析

題目: Bacterial communities in different locations, seasons and segments of a dairy wastewater treatment system consisting of six segments
掲載誌: Journal of Environmental Sciences 46(2016)
概要: (要訳) 乳脂肪粒子を破壊する設備を備えた第1槽(曝気なし)、4つの連続した活性汚泥による好気性処理槽、 および最終汚泥沈殿槽で構成されるパーラー廃水処理システムを開発した。 活性汚泥は全ての処理槽を循環しているものの、BODやDOなどの変化を反映した細菌叢の連続変化が見られた。

解説: アクトのパーラー排水処理システムの中の菌叢解析結果が論じられています。
この報告の要旨は公開されていますが、残念ながら本文は有料となっています。
ここでは、この要旨でも説明されている「標準的なアクトのパーラー排水処理システム」の概要を説明します。
下図に示したように、このシステムは6つの槽からなります。
第1槽にセットされたACTシステムが乳脂肪球を粉砕・分散させることにより、この後に続く4つの曝気槽内では高濃度の乳脂肪分を含む排水の効率的な微生物処理がなされます。第3槽と5槽には微生物の住処となる活性化石炭が配置されていて、多量の抗生物質の流入などのアクシデントの際には微生物の避難場所となります。第6槽は活性汚泥を沈殿させるためにありますが、ここから汚泥の一部を第1槽と2槽に送り返すことにより、システム内の微生物数を保ちます。
ACTの排水処理システム


南極産微生物の商品化

題目: 南極産酵母の環境適応機構の解明とその産業利用
掲載誌: 生物工学会誌 94-6(2016)
概要: (要旨) 南極にて微生物調査を行い, 陸上生態系でもっとも分離頻度の高い担子菌酵母が北海道など寒冷地での乳脂肪を含む排水処理に適した性質を有することを見いだし, 国内で初めて南極産微生物を商品化した.

解説: 帯広畜産大学や産総研との連携を通じて、 高濃度(~20%)の乳脂肪や抗生物質などの難処理成分を含有するパーラー排水を処理可能なシステムが完成に近づいていた時、 残されていた大きな課題は北海道の厳冬期であっても経済的・効率的な排水処理を可能とする「低温に強い微生物」でした。
産総研の星野保博士(現在は八戸工業大学教授)達は南極から持ち帰った微生物の中から低温で乳脂肪分解性の高い菌株のスクリーニングを行い、 Mrakia blollopis SK-4 株と名付けられた酵母が最も有力な低温排水処理用微生物であると結論づけました。
「生クリームを含む寒天培地で示すその乳脂肪分解能は,培養温度 4°C でもっとも高い」という驚くべき試験結果を得たのです。 そして、牛乳を含む排水を生物処理している北海道内の施設より得た活性汚泥に SK-4 株を添加すると, 低水温(4–10°C)での有機物分解効率が約 2 割上昇することを確認しました。 また、本株の増殖上限温度以上の 25°C で 100 日間培養すると活性汚泥中のSK-4 株の菌数は1/100 程度まで減少しましたが, 死滅することなく、その後水温を低下させると再び増殖が確認されました。
通常の活性汚泥法では水温が10℃以下なると細菌類の活動が低下して排水処理機能が大きく低下します。 しかし、このSK-4 株を活性汚泥の中に入れておけば、水温が低下する冬期に活発化して、排水を浄化してくれるというわけです。
アクトは、このMrakia blollopis SK-4 株を吸着させた活性化石炭を「アクト ピュリフィケーション コール」と名付けて商品化しました。

クリーン・リフレ(除菌)関連の論文

口蹄疫ウイルスの不活化試験

題目: Potential of electrolyzed water for disinfection of foot-and-mouth disease virus
掲載誌: Journal of Veterinary Medical Science 79-4(2017 )
概要: (要訳) 口蹄疫ウイルス(FMDV)に対する消毒剤候補として、酸性電解水(EW)(pH 2.6-5.8)とアルカリEW(pH 11.2-12.1)を調べた。 pH2.6の酸性EWとpH>11.7のアルカリEWを使用すると、ウイルスが1:10希釈でEWと混合された2分後に、容器内のウイルス力価は 4桁以上減少した。 酸性EW(pH 2.6)の強い殺ウイルス効果は、溶液中の有効塩素濃度に依存するようだが、アルカリEW(> 11.7)の効果は依存しないようだ。 遺伝子解析により、ウイルスのRNAは、特にアルカリEWによって大幅に減少することが明らかになった。

解説: 口蹄疫は伝染力が非常に強く、2010年の日本の発生では292農場の約21万頭が感染し、約2,350億円の被害を与えた(農研機構HP)という、数ある家畜伝染病の中で最も警戒すべきもののひとつです。 クリーン・リフレ(酸性電解水)が口蹄疫ウイルスを不活化する能力を確認するために、アクトは帯広畜産大学に協力を依頼しました。しかし、日本国内でこのウイルスを取り扱うことが難しいため、ベトナムの研究機関との共同研究を行うことになりました。
結果として、pH2.6(有効塩素濃度48ppm)の酸性電解水とpH12.1(有効塩素濃度1ppm)のアルカリ電解水の双方が口蹄疫ウイルスに有効な除菌液として使用可能であることと、pH5.8(有効塩素濃度30~39ppm)の酸性電解水は前2者に比べて多量に用いなければ効果が不十分であることが確認されました。


PEDVの不活化試験

題目: 豚流行性下痢ウイルスに対する次亜塩素酸水のウイルス不活化効果
掲載誌: 日本獣医師会雑誌 72-2(2019)
概要: (要旨) 次亜塩素酸水のPEDVに対する消毒効果を調べた. PEDVと酸性(pH3.0〜3.1)またはアルカリ性(pH11.7〜11.9)次亜塩素酸水を1:9の割合で混和し,1分間処理したところ99.9%以上のウイルス不活化率がみられた. 特に,酸性次亜塩素酸水は5%の豚糞便存在下でも1分間処理で99.9%以上の不活化率を示した. 一方,pH2.7の細胞培養液はPEDVを不活化しなかったことから,酸性次亜塩素酸水の効果は溶液の酸性度に依存しないと判断された. 次亜塩素酸水は安全性が高く環境負荷も少ないことから,既存の消毒薬に代わり畜産現場の衛生対策に広く使用されることが期待される。

解説: 豚流行性下痢ウイルス(PEDV)感染症は、平成25年10月に我が国では7年ぶりに発生し、毎年国内各地で発生が確認されています。経口感染する病気ですので、 予防にはワクチンの接種と同時に豚舎内外の衛生管理の徹底が重要です。
クリーン・リフレ(酸性電解水)のPEDV不活化能力を確認するために、アクトは帯広畜産大学に試験を依頼しました。 試験に用いたのはpH3.0 ~ 3.1 の酸性電解水(有効塩素濃度 47 ~ 48mg/l)とpH11.7 ~ 11.9のアルカリ電解水(有効塩素濃度 1mg/l)です。
結果として、有機物の汚染が無い場合には酸性電解水とアルカリ電解水の両方が有効な除菌液として使用可能であることが確認されました。 また、豚糞便を5%混入させた場合には、アルカリ電解水(不活化率=96.8%)より酸性電解水(不活化率>99.9%)の方が効果が大きいこともわかりました。


新型コロナウイルスの不活化試験

題目: Acidic electrolyzed water potently inactivates SARS-CoV-2 depending on the amount of free available chlorine contacting with the virus
掲載誌: Biochemical and Biophysical Research Communications 530-1(2020)
概要: (要訳) アルコール消毒剤の代りに使用するための酸性EWのSARS-CoV-2不活化効果を評価した。 酸性EWの迅速な殺ウイルス効果は、含まれるFACの濃度に依存していた。 生成後の長期保管によりFACが失われた酸性EWでは効果が完全に消失した。 さらに、殺ウイルス活性は、EWのFAC濃度が同じである場合、ウイルス溶液と混合された酸性EWの量に比例して増加した。 これらの知見は、SARS-CoV-2に対する酸性EWの殺ウイルス活性がウイルスに接するFACの量に依存することを示唆している。

解説: 新型コロナ感染症によるパンデミックにより日本中でアルコール除菌液が入手困難になった時、アクトはいち早くクリーン・リフレの増産体制を整え、 医療機関、福祉施設、飲食店等への提供能力を高めました。 その一方で、クリーン・リフレ(酸性電解水)が新型コロナウイルスを不活化できるという確証を得るために、アクトは帯広畜産大学に協力を依頼し、 その結果は畜産大学のHPに「新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の不活化効果を証明」として2020年5月14日付で掲載されました。
そのころ独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は一連の「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価に関する検討委員会」を開催していて、 その第4回検討委員会の2020年5月29日付の報道発表資料には『次亜塩素酸水』については、今回の委員会では判定に至らず、引き続き検証試験を実施すると書かれていました。ところが一部のメディアがこれをミスリードし、次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに有効ではないと誤解されるような趣旨の報道をしたため、 一時はパンデミックの中での混乱が起きてしまいましました。
しかし、その後北海道大学の研究グループなど数多くの機関が、次亜塩素酸水の有効性を裏付ける試験結果や、 科学的根拠に基づいて次亜塩素酸水の有効性を主張する声明を次々と公表し、 2020年6月26日付のNITEの最終報告でも「次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は有効塩素濃度35ppm以上」のものが有効であるとされました。
本論文の結果も「正しく十分な量を用いれば酸性電解水はSARS-CoV-2ウイルスを不活化できる」ということを示しています。


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